若手の躍進の陰にベテランの妙技が光る。福岡ソフトバンク・高谷選手。

2017.11.23(木) 00:00 パ・リーグ インサイト 望月遼太

今季、さすがの強さで日本一に輝いた福岡ソフトバンク。育成契約から這い上がって目覚ましい飛躍を遂げた甲斐選手が、その扇の要として注目を浴びている。だが、献身的に投手陣を支えて今季の優勝に貢献した捕手は、この新進気鋭の若者1人だけではなかった。若い甲斐選手が危機感を持ち、多くの学びを得ながらより良いパフォーマンスを発揮する上で、2番手捕手である高谷選手の存在は非常に大きかったに違いない。
高谷選手は異色の経歴を持つベテランだ。小山北桜高校を卒業後、3年後のプロ入りを目指して富士重工に入社するが、相次ぐ故障に悩まされ、公式戦出場は1度もないまま2年目に退社。失意の中、気持ちを切り替えられずに実家に閉じこもった。しかしプロ野球選手になる夢を諦めきれず、1年間の浪人生活を経て一般試験で白鴎大学に入学する。そこで頭角を現し、2006年に福岡ソフトバンクから3位指名を受けた。
26歳のオールドルーキーだった高谷選手は当然即戦力の呼び声が高く、正捕手候補と目された。しかし1年目はわずか12試合の出場にとどまり、その期待に応えられず。2年目の2008年は62試合に出場するものの、打率1割台に終わったため、翌年は長打力を誇る田上秀則氏が正捕手の座に就く。その後は競争が激化し、なかなか正捕手に定着できないまま、年齢のこともあって厳しい立場へ追い込まれ...

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