「生活も言葉もすべてを変えた」——台湾チア『Rakuten Girls』唯一の日本人・高橋佳帆が異国で挑戦を続ける理由

パ・リーグ インサイト 池田紗里

「Rakuten Girls」高橋佳帆さん
「Rakuten Girls」高橋佳帆さん

 2026年6月22日、東北楽天ゴールデンイーグルス 対 埼玉西武ライオンズ戦が、楽天グループによる冠協賛ゲーム「楽天スーパーナイター」として東京ドームで開催されました。

 楽天イーグルスの本拠地、楽天モバイル 最強パーク宮城までなかなか足を運べないファンに向けたこの特別な一戦には、ゲストに台湾プロ野球「Rakuten Monkeys」の公式チアグループ「Rakuten Girls」も来場。今回来日した6名のなかには、チーム唯一の日本出身メンバーである高橋佳帆さんの姿もありました。

 楽天イーグルス公式チアリーダー「東北ゴールデンエンジェルス」として活動したのち単身海を渡った高橋さん。お話をお聞きすると、その口から語られたのは異国に飛び込んだひとりの女性の強い決意と覚悟でした。

今回来日した「Rakuten Girls」6名(左から)高橋 佳帆、穎樂(インルー)、笑笑(シャオシャオ)、Kira(キラ)、若潼(ロートン)、溫妮(ウィニー) ©Rakuten Eagles
今回来日した「Rakuten Girls」6名(左から)高橋 佳帆、穎樂(インルー)、笑笑(シャオシャオ)、Kira(キラ)、若潼(ロートン)、溫妮(ウィニー) ©Rakuten Eagles

「個」が輝く台湾チア。日本とは違うエンタメの形

 高橋さんは、3歳から18歳まで地元静岡県でクラシックバレエを習い、大学時代には応援団チアリーディング部に所属。2023年に「東北ゴールデンエンジェルス」に加入し、活動の一環で台湾での試合に出演。その際に、ベンチ上のスタンドで各選手の応援ソングに合わせてチアリーダーがダンスやコールで盛り上げ、ファンはそれに合わせ歌い・踊るという台湾プロ野球独自の応援スタイルに感銘を受けたことがきっかけで、台湾での活動を志します。

 念願だった「Rakuten Girls」への加入を果たし、今年で3年目。今改めて感じる“台湾プロ野球チアの魅力”について尋ねると、日本とは異なる「仕組み」と「熱気」にあると語ります。

高橋さん:メンバーそれぞれにオーラや個性があって、個々が目立つ『アイドル』という感じが台湾チアならではの魅力だなとあらためて感じています。台湾ではすでに芸能キャリアがある方がプロ野球チアになるのが王道。メンバーはそれぞれ別の芸能事務所に所属していて、試合の日は集まって活動し、普段は各々でタレント活動をするという形です

 また台湾では、来場者それぞれが自由な雰囲気で球場を楽しみ、勝敗に関係なく盛り上がれる側面があるところも魅力だと言います。

高橋さん:私たちが試合中に踊る目の前の席では、ファンの皆さんがカメラを構えて撮影を楽しみ、それがSNSで拡散されてさらに熱を帯びる。チア自体が、ひとつの大きなエンターテインメントとして確立されています。スタンドでのダンス中のアドリブやポーズなど「個人の表現力」も欠かせないのが台湾流。自由度が高い分、難易度も高いのかなと感じています

「Rakuten Monkeys」本拠地・楽天桃園野球場での活動の様子 ©︎Rakuten Monkeys
「Rakuten Monkeys」本拠地・楽天桃園野球場での活動の様子 ©︎Rakuten Monkeys

「生活も言葉もすべてを変えた」——異国での挑戦を支えるもの

 自らアプローチを重ねて「Rakuten Girls」の扉を開いた高橋さん。「たくさんの方がつないでくれたご縁のおかげで、今の私があります」と語ります。現在の「やりがい」について質問すると、異国の地で夢を追う彼女の並々ならぬ熱量が伝わってきました。

高橋さん:台湾での毎試合が、私にとっては本当に意味のあるものなんです。台湾で生まれ育ったメンバーとは違い、私は『どうしても台湾でチアになりたい』と決意して、日本から海を渡ってきました。だからこそ、人一倍強い思いを1試合1試合にかけてきました。 この夢のために生活のすべてを変え、言葉も学んできました。その決意や覚悟は、きっと仕事に向き合う姿勢に表れているはずです。それがファンの皆さんにも伝わり、応援してくださる方が少しずつ増えていく。それが今の私にとって何よりのやりがいです

 台湾行きが決まった際、家族には事後報告だったそう。「お父さんは『死ぬなよ』と背中を押してくれ、お母さんは娘の意思を尊重しつつも、やはり違う国へ行ってしまう寂しさをにじませながら送り出してくれました」と、言います。

 この日はお母さまも東京ドームに駆けつけていて、試合前に行われた「Rakuten Girls」のファンミーティングでは、最前列で娘のグッズを掲げながら涙ぐむ姿があったそう。高橋さんは「見たら泣いちゃうから、絶対に見ないようにしていました」と、少し照れくさそうに微笑みました。

楽天スーパーナイターでセレモニアルピッチも務めた高橋佳帆さん(左)、穎樂(インルー)さん(右)©Rakuten Eagles
楽天スーパーナイターでセレモニアルピッチも務めた高橋佳帆さん(左)、穎樂(インルー)さん(右)©Rakuten Eagles

 今回の東京ドームでの「楽天スーパーナイター」は、高橋さんにとって古巣への凱旋でもありました。多忙なスケジュールのなか、胸を熱くする再会もあったと言います。

高橋さん:今回、共演した東北ゴールデンエンジェルスのNOAちゃんとKOTOHAちゃんは、私が東北ゴールデンエンジェルス時代にチアダンススクールで教えていた教え子なんです。その2人と一緒にひとつの演技を作り上げられたことは、すごく感動的でした

「台湾チアとして日本の試合に出演するのがひとつの夢だった」そう口にしていた高橋さん。3年前とは違う景色を見ている今、これからの台湾での野望についてはこう話します。

高橋さん:今、台湾では韓国プロ野球(KBO)チアのブームがすごい勢いなんですが、それに負けず劣らず、日本人チアとして存在感を出していきたいです。私が日本の楽天イーグルスから台湾の楽天モンキーズへ来られたのは、本当にすばらしいご縁のおかげなので、今後は日台の楽天同士でもっとたくさんの交流ができたらいいなとも思っています。 そして、いつか台湾のコンビニの商品のパッケージに自分の顔が載るくらい、台湾のなかで有名な日本人になれるように頑張りたいと思っています

 最後に、読者へメッセージ。

高橋さん:最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。台湾の野球文化、チア文化は、今お話ししただけでは語りきれないほどの魅力があります。皆さんぜひ台湾に遊びに来てください! そして高橋佳帆を探しに来てください。待ってます♡

◇ ◇ ◇

 異国での孤独やプレッシャーを跳ね除け、言葉の壁を越えてファンを魅了し続ける高橋佳帆さん。弾けるような笑顔の裏には「すべてを懸けてここに来た」という揺るぎない覚悟がありました。日本とは一味違う球場の熱気とエンターテインメントを味わいに、そして異国で輝く彼女の姿を確かめに、ぜひ一度台湾の球場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

高橋佳帆さん ©Rakuten Eagles
高橋佳帆さん ©Rakuten Eagles

▼高橋佳帆 公式SNS
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【Rakuten Girls】
2005年に台湾プロ野球初のチアチームとして誕生し、今年で結成21年目。これまで母体球団の買収・改名に伴い二度の名称変更を経て、2020年シーズンから「Rakuten Girls」として活動。2026年7月時点で在籍する計27名のメンバーのなかには、日本や韓国出身メンバーも在籍。球場での応援パフォーマンスを行うほか、CDや写真集を発売するなど幅広い活動で人気を集め、台湾のエンターテインメント業界では影響力を持つガールズグループのひとつと言われている。

記事提供:パ・リーグ インサイト 池田紗里

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