
ロッテ・唐川侑己投手(37)が8日、本拠のZOZOで引退会見を開いた。千葉出身で地元のロッテに入団し、19年の現役生活で通算82勝を挙げた右腕は涙をこぼさず「幸せな思いをさせてもらった」と笑みを浮かべながら家族や仲間、ファンらに感謝。引退セレモニーが行われる10月3日のソフトバンク戦(ZOZO)での最終登板に意欲を示した。
ファームでの鍛錬が続いて浅黒く日焼けした唐川は、引退会見で涙を流さなかった。渋みを増した端正な顔に笑みを浮かべながら、約20分にわたって19年を回顧。「泥臭く必死にしがみついて何とかやってきた。この世界で大きな花を咲かせることはできなかったが、ファンの皆さんに鮮やかな花にしてもらった。幸せな思いをさせてもらった」と通算82勝を挙げたロッテ一筋のプロ人生を、謙虚に表現した。
地元・成田のエースとして甲子園に出場し、ドラフトイヤーの07年には大阪桐蔭・中田翔、仙台育英・佐藤由規と“高校ビッグ3”と称された。3人の中でただ一人、現役で迎えた今季は背水の陣で臨むも、1軍戦登板は5回4失点で黒星を喫した5月30日の阪神戦(ZOZO)だけ。ファームでも7勝7敗、防御率3・58と圧倒的な成績は残せない中、次第に引退へと気持ちが傾き、家族を球場に招いた8月の2軍戦で最終決断。夫人には「お疲れさまでした」とねぎらわれたが、長男は「ちょっと嫌そうな顔をしていた」という。
最も印象に残っているのは、24年4月16日の西武戦(ZOZO)で「自分の中で最後だと思い、マウンドに上がった。この景色を目に焼き付けようと投げた」。6回1安打無失点で自身に勝敗はつかずも、チームはサヨナラ勝ち。覚悟を決めて、全力で腕を振った試合で納得のいく結果を残せたことで引退を2年、先延ばしにできた。
引退セレモニーが行われる10月3日のソフトバンク戦(ZOZO)では登板が濃厚。「僕が投げて直也が投げてくれたら、こんなに最高なことはない」とサプライズで登場し花束を渡された同学年の親友、益田とのリレー登板実現を熱望して、さわやかに会見を締めた。(阿見 俊輔)
◆唐川に聞く
―引退を決断して。
「いろいろな方にあいさつをして、実感が少しずつ湧いている感じです」
―サブロー監督とは。
「引退を決めた次の日に電話で報告しました。お疲れさまと。どちらかというと今後の話を多くさせてもらった」
―チームメートは。
「自分が思っている以上に、残念という言葉をいただけた。報われる時間であったなと思っています」
―同学年の益田には。
「電話で報告した。比較的、僕はあっさり伝えてしまったかなと。泣いてくれたのですが。僕らの世代は直也が頑張ってくれたおかげで頑張れた」
―地元の球団で19年。
「周りの方にもたくさん喜んでもらった。生まれ育った千葉で野球をする姿を見せられた。幸せでした」
―“ビッグ3”と呼ばれた中田翔、佐藤由規は。
「特に入団当初はお互いに意識し合って、ライバルというよりも仲間と思ってやってきた。感謝しています」
◆唐川 侑己(からかわ・ゆうき)1989年7月5日、千葉・成田市生まれ。37歳。成田では2、3年時のセンバツに出場。07年高校生ドラフト1巡目でロッテに入団した。通算350試合で82勝78敗64ホールド、防御率3.71。今季は1試合で0勝1敗、防御率7.20。181センチ、90キロ。右投右打。今季推定年俸4400万円。既婚。