オリックスの山岡泰輔投手が、1軍昇格に向け最終調整を続けている。
山岡はプロ10年目の今季、3年ぶりに先発に転向。開幕までのオープン戦2試合で0勝2敗、防御率2.00で開幕1軍入りを逃し、2軍で調整を続けてきた。
「言い訳になってしまうので伝え方が難しいのですが、中継ぎの時のようにガーっというアドレナリンというのか、(それが)毎回、毎回出ないんです。先発の感覚を忘れているというか、なんとなく入ってしまってその分、出力が出ないんです」。慎重に言葉を選び真情を吐露したのは、4月初旬だった。
172cm、68kgの小さな体を弓のようにしならせ、直球と縦スライダーなどキレのよい変化球で2019年には、13勝4敗で最高勝率のタイトルを獲得したこともある右腕。出力を求め、精緻なフォームのバランスを崩した。「なんか、(ボールに)力が伝わっていない感じがあります。歯車が合っていないというか、想像通りのボールがいっていないんです」
そんな心の揺れを、岸田監督が包み込んでくれた。4月8、9日に本拠地でのロッテ戦を前に、大阪の球団施設・舞洲を訪れた指揮官から、投げ終わったブルペンで、身振り手振りのアドバイスをもらった。「出力ばかりを気にしていたのですが、マモさん(岸田監督)から『そういうピッチャーじゃないから』と言ってもらえて。違う方向に行っているなと気付いてはいたんですが、力の入れ方などの話もしていただけました」。先発から抑え、先発と転向を経験した岸田監督の言葉で、ブルペン入りする前とは明らかに違う表情の山岡がそこにはいた。
“弟子入り”を志願してきて2023年のオフから自主トレを一緒に過ごすソフトバンクの大津亮介投手のフォームも参考に修正した。「腕の上げ方とか、フォームをちょっと変えました。バランスですね」。同じような体格の大津(175cm、63kg)を参考にすることで安定感が増した。
4月11日のソフトバンク戦(さとやく)では、4回を80球、被安打6、6奪三振、無四球、無失点。18日の同じカード(タマスタ筑後)では6回1/3、96球、被安打3、9奪三振、2与四球、4失点。失点はソロ本塁打と不運な当たりなどによるもので、内容は1軍昇格に合格点を与えるものだった。
「ファームですから三振の数(9)は関係ないですが、出力もちょっとずつ上がってきましたし、うまくはまった感じでした」と手応えを感じたようだった。「マモさんの話や、アツさん(厚澤和幸・1軍投手コーチ)や比嘉さん(幹貴・1軍投手コーチ)から教わった出力を上げるための助走スローなどの積み重ねだと思います」と感謝する。
チームの先発陣では、宮城大弥投手、山下舜平大投手が故障で戦列を離れている。「(シーズンの)最初から勝負しなければいけなかったのですが、いつ呼ばれてもいいように準備はできています」。けが人も相次ぐ中、首位争いを繰り広げるチームの勝利のピースとして、投げ抜く覚悟だ。
取材・文=北野正樹