ロッテ・田中晴也「収穫もすごくあった年ですけど」…「課題も明確になった」来季は「中6日で投げたい」

ベースボールキング

2025.12.19(金) 23:15

ブルペンで投球練習するロッテ・田中晴也[撮影=岩下雄太]
ブルペンで投球練習するロッテ・田中晴也[撮影=岩下雄太]

 「まっすぐというところとオフシーズン磨いてきたフォークがある程度通用するのをつかめました。試合で投げていく中でクイックであったり、1試合通してコンスタントに良いボールを投げきれなかった反省もあるので、収穫もすごくあった年ですけど、一軍でたくさん投げたのでより課題も明確になったのかなと思います」。

 ロッテ・田中晴也は高卒3年目の今季、収穫と課題が残る1年になった。

 先発ローテーションを目指す立場だった田中晴也は、25年に向けてオフは「一番はまっすぐフォークのところが自分のコンビネーションで一番仕上げたいとこです。セットとクイックともによくはなってるかなと思うので。あとはフォークのところも今日(2月4日の取材)やっと少しずついい感覚が掴めてきたので、自信を持って臨めているかなと思います」と課題克服、武器であるフォークを磨いてきた。

 昨季一軍を経験したことで、「変化球が1つ自信を持っていつでも投げられる球を見つけないといけない」と感じたそうで、「そういったとこでフォークはやっとコントロールもついてきましたし、どんな場面でも使える球になってきてる。そこは1つ去年とは違うところかなと思います」と自信を見せた。

 昨季は奪三振が春先課題だったと話していたが、奪三振に関しても「フォークもよくなってますし、今年は高めのまっすぐを使っていこうと思っています。あとスライダーのカウント球と空振り取りにいくスライダーと上がっています。チェンジアップは振り幅、いろんな組み合わせっていうのは去年よりも確実に上がっているので、そこは奪三振が上がると思います」と投球のバリエーションが増えたことで、奪三振増に期待が持てると石垣島春季キャンプ中は考えていた。

 「とにかくまずはやってきたことで自分のボールをとにかく投げる。その中であとは試合になったら打者との勝負なので、そこは正々堂々としっかりと自分のピッチングができたらいいなと思います」。今季対外試合初登板となった2月18日のヤクルトとの練習試合は3回を無失点に抑えたが、初回8球全てストレートで三者凡退、2月26日のオリックスとの練習試合でも、ストレート主体の投球で4回を1失点にまとめた。

 ストレートは「順調にきていると思います。ファウルが取れているのでいいかなと思います」と手応え。昨季、走者を出してからのクイックの精度、走者を出した時にストレートのスピードが落ちる傾向にあったが、「不安なくできているので、対バッターに集中できているので、良いかなと思います」と、3月6日の広島とのオープン戦では0-0の3回二死三塁で山足達也の初球に152キロを計測するなど、ランナーを背負ってからも140キロ台後半のストレートを計測。

 対外試合が始まってから、ストレートで打ち取っていくスタイル。「シーズン通して真っ直ぐが軸にならないといけないピッチャーなので、変化球を投げてもシーズン序盤ですし、真っ直ぐが通用しないことにはシーズン通用しない。真っ直ぐを投げて、まずはそこの一番大事なところをわざと多めに投げていました」と、2月の練習試合では短いイニングだったこともあったのか、ストレート中心の投球が目立った。

 「ゾーンで勝負できているのもありますし、変化球の精度が良くなっているので、そこでアウトを1球で取れたりだとか、広島戦でもありましたけど、平行カウント、フルカウントのところでチェンジアップで1球で終わらせたりだとか、変化球の精度も1つの理由かなと思います」と、ストライク先行で打者を打ち取った。

 田中晴也は2月18日のヤクルトとの練習試合から3月22日の西武二軍戦まで5試合・23回2/3を投げ、1失点にまとめ、開幕先発ローテーションを文句なしで掴み取った。

◆ 開幕ローテーション入り

 今季初登板となった4月4日の楽天戦、5回2失点で敗戦投手になったが、「いつも通りだと思います」と力強いストレートでねじ伏せた。特に0-0の3回二死三塁で辰己涼介を2ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた5球目の152キロ外角ストレート、0-1の5回先頭の小郷裕哉を1ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた外角150キロのストレートと、左打者の外角のストレートが素晴らしかった。「ストレートは1番の武器なので、そこはしっかり表現できたのかなと思ったので良かったです」。

 0-0の初回一死二塁で小郷裕哉に1ボール1ストライクから投じた3球目見逃しを奪った外からの136キロスライダー、0-0の3回先頭の小深田大翔に1ボール1ストライクから投じた3球目の132キロ見逃しスライダーと、左打者にカウント球で投げたスライダーも「プラン通りじゃないですけど、あそこでカウントを取ると決めていたので良かったです」と良い球だった。

 0-0の4回無死一、二塁でフランコを1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた4球目の134キロ縦に落ちるスライダーに関しては、「データでスライダーが投げるべきだったので、そこはしっかり続けてコントロールできて良かったです」と明かした。

 楽天戦での投球自体は「悪くはないですけど、もったいないなというところと、いいボールを投げていたからこそいい選択もできましたし、勝負所で1球決めきれなかったところがあるので、投げているボールは悪くないですけど、投げているボールに対して結果がついてこなかったので、そこはまだまだ課題かなと思います」と振り返る。

 もったいない部分について「決め切るところの1球が勿体無いというか、宗山さん、阿部さんとかも気をつけて投げてはいましたけど、投げているボールは全体的に自分が有利な場面が多かったので、その中で抜けて狙われてしまったので抑えていきたいです」と話した。

 今季2度目の先発となった4月16日の日本ハム戦、7回・95球を投げ、2被安打、8奪三振、3与四死球、無失点で今季初勝利を手にした。「真っ直ぐがあっていなかったので、押していこうと思いました」と、0-0の5回二死満塁で矢澤宏太に対し、1ボールから153キロのストレートで空振り、155キロのストレートでファウルで1ボール2ストライクとすると、最後は自己最速となる156キロのストレートで空振り三振に仕留めた場面は痺れた。

 同日の日本ハム戦の試合前練習前にZOZOマリンスタジアムのグラウンドで、「バッターのデータも見ていますが、とにかく自分たちの後悔ない選択じゃないですけど、しようというところは思っている。自分の優先順位を含めながら、一番良い選択ができるようにという話をしています」と、バッテリーを組んだ寺地隆成と話し込む場面もあった。

 続く4月27日の日本ハム戦、5回2失点で2勝目を手にしたが、5月5日の楽天戦、5月16日の日本ハム戦はいずれも敗戦投手になってしまう。

 5月27日のオリックス戦は、「プランもそうですけど、バッターの反応も見れてやれていることが良かったのかなと思います」と、序盤ストレート中心の力強い投球で、2巡目以降変化球も徐々に増えていき、6回は15球中11球が変化球を投じるなど、頭脳的な投球で、7回2安打無失点で3勝目を手にした。

 その中でも、0-0の2回二死走者なしで杉本裕太郎を1ボールから投じた2球目134キロ見逃しを奪ったチェンジアップ、3-0の4回二死走者なしで頓宮裕真を1ボール1ストライクから投じた3球目132キロファウル、3-0の6回一死走者なしで廣岡大志を1ボール1ストライクから投じた3球目の空振りなど、「キャンプでできていたことがシーズン入って、あんまり良くなかったので、キャンプで今まで積み重ねたものがやっとよくなってきたかなと思います」と、カウント球に投げるチェンジアップが非常に良かった。

 田中自身、今自分のやりたいパフォーマンスは「ある程度、できているのかなと思います」と話す。投げている中での自信も「ひとつひとつキャンプでやってきたことが形になってきているので、そういったものが通用すると思ってシーズンに入っています。そこがやっとより自信に変わっているかなと思います」と力を込めた。

 「交流戦とか関係なく、投げる試合はとにかく自分のやるべき仕事を全うして100%の力を出せるようにと思っています」。交流戦では2試合に先発し、6月7日の中日戦では7回・97球を投げ、4被安打、9奪三振、1失点にまとめれば、打っても、「打ったのは、たぶんフォークだと思います。打つことができて良かったです」と0-1の5回無死満塁の第2打席、髙橋宏斗が投じた初球の146キロフォークをレフトへ2点適時打放つなど、“投打”にわたり躍動した。

 交流戦明け、最初の登板となった6月29日のソフトバンク戦、敗戦投手になったが、プロ入り後最多の11奪三振。

 0-2の6回一死二、三塁で栗原陵矢を2ボール2ストライクから5球目の137キロフォークで空振り三振、山川穂高を申告敬遠で満塁としたが、谷川原健太を1ボール2ストライクから137キロのフォークで空振り三振。ピンチの場面で、三振に仕留めたフォークは非常に素晴らしかった。

 「まだ試合によってバラバラのところがあるのであれですけど」と反省しながらも、「良い時のフォークはすごい感覚が良いですし、あとはクオリティというのを毎試合コンスタントに出せれば、だいぶいい形になってきているのかなと思います」と手応えを口にする。

 「高さ勝負のところを意識しているので、とにかく高さだけを間違えないように投げた上で、いい高さに行く時は自然としっかり落ちてくれる。ストライクからボールを考えて投げています」と、ストライクゾーンからボールゾーンに落差の大きいフォークで空振りの山を築いた。

 前半戦は登板間隔を空けながらの登板が多かったが、7月18日のオリックス戦では、一軍の公式戦では初めて中6日で先発し、6回・112球を投げ、6被安打、6奪三振、3失点にまとめた。一軍での初の中6日での先発に「準備はずっとしてきたので思ったようにいけたかなと思いますし、1回しかやっていないので、これからコンスタントにやっていけるように自分自身頑張っていきたいと思います」と話した。

 田中は前半戦の投球について「中10日だったので他の投手に比べたら時間がありました。その中で人より反省、次の試合に向けて課題を潰しながらできたと思います」と振り返り、「これからしっかりコーチ、監督の信頼を得て、中6日というのを後半戦やっていけるように頑張りたいです」と、中6日での投球に意欲を見せた。

 オールスター明けの戦いに向けては「より長いイニングを投げることが自分の仕事なので、そこを徹底しながら、とにかく勝っている状態で試合を終わらせたり、勝っている状態でリリーフに繋げる。とにかくそこだけを目指して自分のやるべきことを全力でやりたいと思います」と決意を述べた。

 オールスター明け最初の登板となった7月27日の日本ハム戦、「先制点とその後の追加点を先に取られてしまい、状況として守備、攻撃ともに良いリズムが作れなかったのでそこが先発としての役割はまだ不十分だったかなと思うのですが、その後はピンチになりながらでも0で抑えることができましたし自分のできることはできたと思うのでそこは良かったと思います」と6回を投げ3失点だったが、0-3の4回無死二塁から伏見虎威を2ボール2ストライクから5球目の134キロフォークで空振り三振、水谷瞬を1ボール2ストライクから5球目のストライクゾーンからボールゾーンに落ちる133キロフォーク空振り三振、五十幡を3ボール2ストライクから7球目の133キロフォークで空振り三振と三者三振に仕留めたのは見事だった。

 中6日で先発となった8月3日の西武戦、「とにかくフォアボールってところで点を取られてしまったのでそこは本当に反省しないといけない」と5回まで西武打線を無安打に抑えながら、5与四球で5回1失点で降板した。

 結局、その後は一軍登板がなく、ファームでも9月24日の西武二軍戦、みやざきフェニックス・リーグでのオイシックス戦に1試合先発で今季の戦いを終えた。

 3年目の今季は、13試合・76回1/3を投げ、3勝5敗、77奪三振、防御率2.48だった。

 今季を「まっすぐと決め球というところは今年一番良かったですし、特にまっすぐはわかっていても被打率を含め、ファウルが取れたりだとか、相手を上回るまっすぐは良くなっているのかなと思いますし、あとはランナー出した時は走られたり、球威コントロール全ての面においてクオリティが下がってしまうので、そこが僕の弱みだったかなと思います」と総括。

 奪三振率は9.08。「最低限自分の中で9以上と目標にしていたので、そこは良かったのかなと思いますけど、追い込んでから時間がかかったり、追い込んでから三振を取るまでに時間のかかったバッターが多かったので、球数少なくより長いイニングを投げるためには、三振の数値プラス、1人あたりの球数を減らさないといけないのかなと思うので、投げ切る能力がもう少し必要なのかなと思います」。

 ZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では、「秋季練習はとにかくクイックに課題を置いていこうと思うので、クイックのタイム、球威、コントロールというところを一番大事にしたいですし、オフシーズンのところではもう一度まっすぐを見直して、まだまだ納得のいくものではないので、来年は平均球速を上げたいので、そこを上げるプラス、フォークのスピード、空振り率を増やしたいので、そこも課題かなと思います」とクイックを磨いていくと話していた。

 「秋季キャンプでクイックのところは伸びたと思う。次はシーズンでバッターとの対戦になってくる。そこがすごい大事になってくると思うんですけど、少なからずは良くなっているのかなと思います」と、都城秋季キャンプでもクイックを練習し、クイックのタイムもチームの最低ラインをクリアした。

 オフシーズンは、「体づくりは1年間戦うために大事な準備なので、しっかり体を作ることと、技術練習を多く時間をとって技術の部分をもう少し伸ばしていければいいのかなと思います」と体づくり、技術力を上げていく考えを示す。

 来季は「中6日で投げたいですし、中6日で1年間ローテーションを守りたいので、そこはトレーニングとリカバリーというところを見つけたいと思います」と話し、「自分の役割を果たすことですし、とにかくチームが勝てるようなピッチング、1パーセントでも確率の上がるようなピッチングをしたいので、そのためにはより少ない失点で、より長いイニングを投げて中継ぎに繋げることが先発の役目だと思うので、HQSの数を増やしたいです」と意気込んだ。

 来季はシーズン通して先発ローテーションを守り、規定投球回到達、二桁勝利を達成し、今季以降にチームの勝利に貢献していくつもりだ。

取材・文=岩下雄太

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