
オリックスの平野佳寿投手(42)が、25日のソフトバンク戦(京セラドーム大阪)で引退セレモニーを行った。岸田護監督(45)は、平野にとって盟友といえる存在だった。同じ2005年のドラフトで入団。兄弟のように若手時代を過ごし、絶対的な信頼関係を築いてきた。低迷期は「平野|岸田」の勝ちパターンでフル回転。紆余(うよ)曲折の歩みを見てきた。就任2年目の今季は監督、投手兼投手コーチとして共闘。21年間の現役生活にピリオドを打つ弟分へ、リスペクトを込めたメッセージを送った。
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■同じ2005年入団
自分の意思で進退を決められる選手は限られています。その一人が平野です。彼から引退を報告された時、素直に聞きました。辞めるの? どうして? と。いろんな話をしました。同じ2005年のドラフトで入団し、最後の現役選手が平野。寂しさはあります。
まだ、やったらええやん。冗談交じりに伝えました。ですが、これだけの成績を残した選手です。レベルが違います。そういう選手の気持ちはもう、僕には分かりません。年齢的なこと、パフォーマンス、けが、後輩たちの姿を見て思うこと、自分が置かれた立場。平野が本当に思い悩んで、決めたことです。最後は「そうか…」と。それ以上のことは言わなかったです。
デッカー、ほっそー、なっがー。初めて平野と会った時の印象です(笑)。うわさには聞いていましたけど、これが希望(入団)枠の選手なのか…と。寮生活は3年間で、その後に引っ越したマンションも同じでした。
懐かしいですね。「マモさん。僕、マンション決めましたよ」と報告されたこと。内覧も何もせず、平野にお願いしました。こんなやり取りだったはずです。「同じマンションで空いてる部屋、一つ取っておいて」「空いてるみたいですよ」「ほな、頼むわ」。食事に行くのも、何をするのにも、ずっと一緒でした。
平野は胃腸があまり強くありません。「最近、飯が食えないんですよ…」と言われたのが4年目の頃です。「気分が悪い。重病かもしれません。病院、行きます」と検査をしてもらうと、逆流性食道炎でした。胸焼けちゃうん? とホッとしましたけど、当時のことはすごく覚えています。
リリーフは団結します。一つのチームになります。だからリリーフ「陣」と言われます。その中で一番いい投手がクローザー。平野です。僕らには暗黙のルールが存在しました。「もし打たれたら、その日の12時までは悔しがっていい」と。みんなで食事に行って、(日付が変わる夜)12時までは打たれた投手をイジります。「何、ヘコんでんねん!」と。でも、日が替われば「きょうや! きょう!」です。表に出さないですけど、平野も、ちゃんと悔しがっていました。
■NPB250Sへの思い
野球への取り組み、性格、人間性。出会った頃から、平野は変わっていません。メジャーからオリックスに帰ってきて、変わったのは髪形、ヒゲだけです(笑)。投球スタイルも真っすぐ、スライダー、フォーク。最近こそツーシームに取り組みましたけど、代名詞はフォーク。何を言っても、それが平野なんです。
昨年からNPB通算250セーブ、という記録が頭の中にありました。あと一つでしたから。そこまでは何とか、クローザーで頑張ってもらうつもりでした。40歳を超えて、一流の打者をなぎ倒す。若い投手を押しのけて、バリバリで150キロを投げる。監督である僕の中で正直、そういうイメージは沸いていませんでした。では9回で起用することが、彼を苦しめてしまったのか? そうは思っていません。平野という存在自体が絶対的でしたから。
彼は今まで誰も通ってこなかった道を歩み、つくってきました。これからも若い投手に刺激を入れ、助言し、立派な投手を育ててほしいです。理想を言えば、一緒にオリックスを強くしたいです。そしてきっと、分かるでしょう。選手がどれだけ恵まれていたのか、ということを(笑)。
自慢のレジェンドが、引退試合を迎えます。バチバチだろうが、ぐちゃぐちゃだろうが、すべてが正解です。どんな姿でも美しいですし、全員が感動するでしょう。日米で21年間の現役生活、本当にお疲れさまでした。ピッペン、ありがとう。
【注】ピッペンとは、平野が似ていると言われてきた元NBA選手のスコッティ・ピッペン
◆岸田 護(きしだ・まもる)1981年5月10日、大阪・吹田市生まれ。45歳。履正社、東北福祉大、NTT西日本を経て、2005年大学生・社会人ドラフト3巡目でオリックス入団。09年に自己最多の10勝、11年に同33セーブを挙げるなど、通算433試合で44勝30敗63セーブ、63ホールド、防御率2・99。19年限りで現役引退し、20年から2軍投手コーチなどを務めた。24年シーズン終了後に監督就任し、25年3月28日の楽天戦(京セラD)では阪急時代の79年・梶本隆夫以来となる、チームの新人監督の開幕戦白星。座右の銘は「日々新たに」。180センチ、78キロ。右投右打。