【オリックス】「やれと言われたところで全力を尽くすのがプロ」平野佳寿、美学貫き現役生活に幕

スポーツ報知

引退セレモニーで胴上げされる平野佳寿(カメラ・義村 治子)

◆パ・リーグ オリックス0―9ソフトバンク(25日・京セラドーム大阪)

 今季限りで現役を引退するオリックス・平野佳寿投手兼投手コーチ(42)が25日、ソフトバンク戦(京セラD)で引退セレモニーに臨んだ。慣れ親しんだ9回のマウンドに上がり、先頭の中村晃を空振り三振。日米通算853試合目の登板を締めくくった。オリックスの選手として初めて名球会入りし、同通算258セーブ205ホールドと唯一無二の実績を残したレジェンド。元オリックス監督で恩師の一人でもある阪神・岡田彰布オーナー付顧問(68)らがサプライズで花束を贈った。

 鉄の涙腺は崩れなかった。オリックス・平野は美学を貫いた。8月9日に引退を表明。1か月以上を過ごし、この日のセレモニーをイメージすることがあった。「正直、どこで泣くタイミングがあるんやろ?って思いますよ…」。少し言葉に詰まったのは、両親や家族への感謝を伝えたところだけ。ユーモアを交え、現役生活に幕を下ろした。

 「野球をやっている時はできるだけ、感情を出さない方がいい。僕にはそっちの方が向いているかな。やっぱり仕事、職業ですからね」。鳥羽高で本格的にプロを意識し、心身ともに強くなっていった。「人前で泣くのも好きじゃない」と“ルール”を破ったのは、小学3年の頃。大好きな愛犬が亡くなった時だった。

 今季はファームで投手コーチを兼任した。先発で投げたい。リリーフをしたい。まだもまれていない後輩投手が希望した時には、あるべき姿を伝えた。「職業であり、組織だからね。やれと言われたところで全力を尽くすのがプロ。わがままが通る世界じゃないよ」。日米通算21年間のプロ野球人生。平野自身、一度も「抑えをやりたい」と主張したことがなかった。

 勝ち試合の9回で身を削ってきた。いつもは温厚。走者を出しながら無失点で抑えることを示す「劇場」という言葉が聞こえると、珍しく気色ばんだ。「僕以外の投手がそういうふうに言われるのを聞くと、ちょっとね…。彼らも本当に頑張っていますから」。益田(ロッテ)や増田(元西武)ら「同志」を気遣い、守護神という難役を全うしたレジェンド。オンリーワンの方法で、野球をいちずに極めた。(長田 亨)

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