【Buffaloes Inside】
オリックス・宗佑磨内野手の顔から笑顔が消えた。練習中から、望遠レンズ越しの宗の表情には、鬼気迫るものがあった。
「(打撃は)もっとよくなります。まだ、いろんな課題があるんです。1打席ごとに出てくるんです。その課題と向き合っています」。そんな言葉を返したのは、残り3試合となった3月18日の広島戦(京セラドーム)の試合後だった。
その言葉通り、次戦の阪神3連戦(同)では左中間三塁打(20日)、中前打(21日)を放ち、最終戦はマルチ安打。13試合で38打数14安打、2打点、打率.368でオープン戦を終えた。1試合に欠場し、規定打席にはわずかに足りなかったが、チームトップの打率を残し打撃復活を印象付けた。
横浜隼人高から2014年ドラフト2位でオリックスに入団し12年目。ボールに対する反応の高さと安定した送球で守備には定評があり、3年連続してゴールデングラブ賞を獲得。打撃でも勝負強さを発揮しリーグ3連覇、日本一に貢献してきた。
しかし、2024年以降は打撃が下降し、2年連続して100試合出場をクリアすることができなかった。「(極端な話)守備なんかどうでもいいんですよ、バッティングなんですよ。バッティングがよくなければ試合に出られないし、守備がダメでもバッティングがよかったら出られる。単純、簡単なんです」というのが持論。試合に大きく貢献できるのは、守備より打撃。守備の名手だからこそ感じる、打撃の重要性だった。
オフは、打撃に時間を割いた。同時に、「技術なんてみんなほぼ一緒です。そこで(力を)発揮できるかできないかは、気持ちなんです。そこで負けてしまったら、もうおしまいです」と昨シーズン中に語ったように、自分に向き合った。
「好調の要因ですか? 全力です」と答えた宗が続けたのは、「言い訳をしない」だった。
「人って、やっぱり何かをちょっと言い訳して生きているんです。(誰しも)しょうがないと思うことがあると思うんですが、それってできなかったことに対しての自分自身のショックを減らすための言い訳になっていることが多いんです。それに本人も気付いていない。多分、気付いてはいるんですよ、でもそれを覆い隠すかのように『いや、でもこうだったから』みたいな理由をつけてね」
宗の顔から笑顔が消えたのは、自分自身を厳しく律しているからだったのだ。「その言い訳と、僕自身が向き合っているんです。まだ言い訳をしてしまうこともあるんです。でもそれをちゃんと自分で理解できていれば、言い訳じゃなくなるんです」
「他の選手と違って、レギュラーではないですから。全力です。本気でやってますもん、野球を」。今年の宗から目を離せない。
取材・文=北野正樹