
オリックス・元謙太外野手(23)が5日、異例の昇給を励みに「完全復活」することを誓った。9月に診断された右鎖骨下静脈血栓症からのリハビリ過程で育成再契約となったが、大阪・舞洲で300万円増の年俸1000万円でサイン。「育成に落ちるタイミングでのアップはなかなかない。球団に恩返しを」と感謝を述べ、直面した「命の危機」を振り返った。
5年目の今季は、主に守備固めとして自己最多の31試合に出場。7月29日の出場選手登録抹消後もファームでは好調を実感していたが、ある時、右鎖骨付近に痛みが走った。「大胸筋の肉離れかな?」と整形外科を受診し、見つかったのは血栓。すぐに救急車で医大へ運ばれた。
全身の臓器から心臓へ血液を戻す役割を持つ、静脈の血流が滞ることで起こる症状。後に分かったのは、血栓が心臓に飛んでいれば命に関わる可能性があったことだ。「本当に死んじゃうのかな、とか…。野球ができるのかなって不安もあった」。それでも「本当に運が良かった」と今ある命に感謝し、リハビリを開始。入院生活を経て、薬を服用しながら徐々に運動の強度を上げてきた。
医師も驚くスピードで回復し、現在はマシン打撃も再開。「支配下に戻るのは当たり前。本当に外野はすごい争いがあるけど、レギュラーを取らなきゃいけない」と目標を高く設定した。「(野球界では)事例が少ない分、『やり直せるぞ』ってところも見せられる。どうせなら自分を見てもらって、プラスに考えられるように」。同じ境遇に立つ人に元気な姿を届けることも、自らの役割。一日も早くフィールドに戻り、縦横無尽に駆け回るつもりだ。(南部 俊太)
関連ニュース
・【オリックス】元謙太、育成契約も300万増 右鎖骨下静脈血栓症から復帰へ「やり直せるぞってところを見せる」
・【阪神】石井大智が39試合連続無失点の日本タイ記録…命に関わる危険もあった頭部打球直撃からの早期復帰
・立命館慶祥1・2番コンビが16年ぶりV導く 横谷塁外野手「優勝したい」春季全道高校野球大会きょう開幕
・【中日】田中幹也が結婚を報告「病気の時も支えてくれた。妻の人生も背負って野球をやっていきたい」1750万円アップの3600万円でサイン
・【高校野球】立命館宇治、バセドウ病克服伊藤央太主将の2安打2打点などで7回コールド勝ち