外崎修汰が打線をけん引。若獅子奮闘も得点力不足に悩む【埼玉西武ライオンズ2023:野手編】

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2023.12.23(土) 16:59

左から外崎修汰選手、佐藤龍世選手、古賀悠斗選手【写真:球団提供】
左から外崎修汰選手、佐藤龍世選手、古賀悠斗選手【写真:球団提供】

 埼玉西武の2023シーズンは、65勝77敗1分の5位で終わった。開幕直後は好調も、交流戦で6勝12敗と苦戦を強いられ、7月前半には8連敗を記録。それでも9月には14勝10敗と勝ち越し、来季へ希望を感じさせた。

 本記事では、投手編、野手編に分け、埼玉西武の2023シーズンを振り返っていく。

得点力不足に悩まされた打線

 松井稼頭央新監督の下、「走魂」をスローガンに掲げ挑んだ今シーズン。リーグ2位の80盗塁を記録したものの、得点数(435得点)、本塁打数(90本塁打)はリーグ最下位。打率はリーグ5位の.233に終わり、得点力不足が顕著に示されたシーズンとなった。

 シーズンを通して活躍したのは外崎修汰選手と新外国人・マキノン選手だった。外崎選手はチームトップの136試合に出場し打率.260、12本塁打54打点をマーク。キャリアハイの26盗塁も記録した。マキノン選手も貴重な戦力となり、打率.259、15本塁打、50打点はチーム2位の数字。一塁での守備も光った。

 源田壮亮選手はWBCでの骨折で出遅れたが、100試合に出場。打率.257も、安定した守備でチームを引っ張った。離脱していた間は、ドラフト6位ルーキー・児玉亮涼選手が主に穴を埋めた。堅実な守備を持ち味に、バッティングでも4月は打率.254とまずまずの数字。源田選手の復帰以降は出場機会を減らしたものの、二軍では43試合で打率.276をマークした。

 夏場以降に存在感を示したのは佐藤龍世選手。9月の活躍は目覚ましく、打率.293ながら24四死球で、出塁率.465、OPS.878を記録。選球眼に磨きがかかり、今季は自己最多の91試合に出場した。

 渡部健人選手は主砲を欠いた打線において、4番を任される試合もあった。5月下旬に一軍昇格を果たすと、交流戦では打率.276と活躍。7月には故障で離脱したが、自己最多の57試合に出場し、打率.214、6本塁打を記録した。

穴の空いた正捕手のポジションを埋めた2人の若獅子

 昨季オフ、森友哉選手がオリックスへ移籍。空白となった正捕手のポジションを分け合ったのが柘植世那選手と古賀悠斗選手だ。

 開幕マスクを任されたのは、柘植世那選手だった。オープン戦では打率.318とバットでアピールし、4月は月間打率.286を記録した。しかし、5月にケガの影響で離脱してからは調子が戻らず。それでも最終的には自己最多の59試合に出場し、打率.184、13打点を記録した。

 確かな成長を見せたのは2年目の古賀悠斗選手だ。自己最多の100試合に出場し、盗塁阻止率(.412)は12球団トップ。前半戦は打撃が低調も、夏場から徐々に調子を上げ、8月の月間打率は.295。勝負強い打撃も増え、結果的に打率.218、2本塁打、20打点でシーズンを終えた。

 また、4月に支配下登録された古市尊選手も29試合に出場。さらに来季は、2018年まで在籍していた炭谷銀仁朗選手が戻ってくる。ベテランも加わって捕手陣がどのような成長を見せるのか、期待したいところだ。

レギュラー不在の外野陣。ドラ1・蛭間拓哉が存在感示す

 外野手として最も多く出場した愛斗選手は、73試合で打率.214と思うような結果を残せず。今オフの現役ドラフトで千葉ロッテへ移籍することとなった。次いで出場の多かった鈴木将平選手は、キャリアハイの72試合。打率.240、自己最多の10盗塁をマークした。

 ドラフト1位ルーキーの蛭間拓哉選手。6月23日に一軍に初昇格しプロ初先発出場。翌24日にプロ初安打を記録し、さらに25日には早大の先輩・早川隆久投手からプロ初本塁打を放つ。最終的には56試合に出場し、打率.232、2本塁打20打点とまずまずの成績を残した。

 大きく出場機会を増やしたのは、高卒3年目の長谷川信哉選手。5月16日にプロ初本塁打を放つなど、59試合に出場して打率.222、4本塁打を放った。西川愛也選手は、4月30日に3シーズンぶりの安打を放ち、連続無安打記録を「62」でストップ。結果的に自己最多の41試合に出場し、打率.227を記録した。

 他にも、8月4日に初のサヨナラ弾を放った岸潤一郎選手や、助っ人のペイトン選手、金子侑司選手、若林楽人選手など12選手が外野の守備に就いたが、シーズンを通して活躍した選手は現れなかった。来季こそは長年の課題となっている外野手問題を解決できるか。

ベテランコンビはまだまだ健在。栗山巧&中村剛也

 序盤のチームに勢いをもたらしたのは、今年40歳を迎えた中村剛也選手。9試合連続安打、3試合連続本塁打を記録するなど、3・4月は20試合で打率.364、7本塁打、14打点の数字で自身5年ぶりの月間MVPを受賞した。5月以降は当たりが減少したが、打率.258、17本塁打でシーズンを終了。大台の通算500本塁打へ、あと29本の471本まで伸ばした。

 中村選手と同い年で同期の栗山巧選手は、代打やDHで77試合に出場。前半戦はなかなかヒットが出ず苦しんだが、7月以降は打率.277と調子を取り戻した。結果的にはシーズン打率.217も7本塁打19打点、出塁率は.346と選球眼も健在。頼れるベテランコンビが、まだまだ元気な姿を示した。

松井稼頭央監督2年目のシーズン。課題をクリアし5年ぶり優勝なるか

 シーズン最終盤には高卒3年目の山村崇嘉選手が結果を残した。開幕スタメンに名を連ねるも、4打数ノーヒット。4月7日に登録を抹消され、以降は二軍暮らしが続いた。しかし、10月1日に再び一軍の舞台に上がると、2日にプロ初安打と初本塁打を記録。翌3日も2号2ランを放ち、ブレイクの兆しを見せた。

 投手陣はリーグ2位の防御率2.93、先発4投手で40勝と安定していただけに、打線の不振が痛かった。しかし、得点力不足が解消されれば、優勝への道も見えてくるだろう。2021年に130試合に出場した呉念庭選手の惜しまれる退団もあったが、今オフはメジャー通算114本塁打のヘスス・アギラー選手を獲得するなど、補強に力を入れている。5年ぶりの優勝へ、獅子たちの躍進に期待したい。

文・谷島弘紀

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