「大谷ルール」とはどんなルール? 2023年度野球規則改正で日本でも適用へ

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北海道日本ハムファイターズ・上原健太投手(C)パーソル パ・リーグTV
北海道日本ハムファイターズ・上原健太投手(C)パーソル パ・リーグTV

 日本野球規則委員会より2023年度の野球規則改正が発表されたことに伴い、今年度からいわゆる「大谷ルール」がNPBでも適用されることになった。MLBにおいて投打二刀流で活躍する大谷翔平選手のために作られたと言っても過言ではない「大谷ルール」とはどんなルールなのか。また、どんな選手に恩恵が期待されるのか、解説していこう。

大谷ルールとは? 2023年度野球規則改正のポイント

「大谷ルール」は、先発投手が指名打者(DH)を兼務できるというものだ。DH制を採用しているパ・リーグでは、適用される可能性もあるだろう。

 指名打者とは、投手の代わりに打席に立つ打者のこと。指名打者は試合開始前に選ばれ、試合の途中で指名打者に変更することはできない。試合途中で守備位置についたり、投手がそのまま打席に入ったりした場合には、指名打者が解除される。また、相手先発投手に対して少なくとも一度は打撃を完了しないといけない。

 上記からもわかるように、本来、先発投手と指名打者はそれぞれ別の選手となる。しかし今回の改正によって「先発投手自身が打つ場合には別々の2人として考えることができる」とされ、同じ選手が「先発投手」と「指名打者」として試合前に提出する打順表に記載できるようになった。

 この場合、先発を降板した後も指名打者として、逆に指名打者に代打や代走が送られても投手として試合に残ることが可能になる。ただし、投手・指名打者のいずれのポジションにおいても、交代後は同じポジションに戻ることはできない。投手として降板し、投手以外の守備位置についたときには指名打者の役割は無くなる。

 また、先発投手以外の投手と指名打者の兼務は認められず、試合開始前の打順表で記載するときのみ、この規定が採用できる。

適用されそうな選手は?

 ここからは、このルールの恩恵を受けそうな選手を紹介していこう。

 注目は、北海道日本ハムのドラフト1位ルーキー・矢澤宏太投手だ。投手としては150km/h超の速球、打っては逆方向に飛ばす長打力とバットコントロールを評価され、二刀流として期待されている。現在行われているキャンプでも野手、投手を並行して練習に励んでおり、順調にいけば一軍で投打に活躍する姿も見られるだろうか。
 
 北海道日本ハムでは上原健太投手も、昨季は二刀流に挑戦。投手としては自己最多の25試合に登板し、3勝5敗、73.1回で防御率3.19の成績を残した。しかし、打者としては5打席に立ち、1安打を放ったのみ。このルールによって打者としての出場機会が増える可能性もあるだろう。
 
 オリックス・山崎福也投手は交流戦でも安打を記録するなど、打撃が得意な投手として有名だ。昨年の「SMBC日本シリーズ2022」第2回戦では、先発投手を任されて4回無失点、打者としては3回表の好機で先制タイムリーの活躍を見せた。「大谷ルール」適用も選択肢のひとつとなるかもしれない。

 野球規則は改正されたが、大谷選手のように投打に圧倒的な活躍を見せる選手がいなければ「大谷ルール」が活用される場面は少ないだろう。今後、大谷選手に続く二刀流の選手が現れるのに期待したいところだ。

文・木村圭

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