浅村栄斗、島内宏明の主力が活躍。辰己涼介も打撃センスを光らせる【東北楽天2022シーズンレビュー:野手編】

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EAGLES Season Review 2022(C)PLM
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 東北楽天はチームスローガンを「譲らない!」と定め、Aクラス入りに甘んじることなく「日本一」奪取を誓う。序盤こそ圧倒的な強さを見せたものの、終盤にかけて大失速。4位に終わった。

 本記事では投手編、野手編に分け、東北楽天の2022シーズンを振り返っていく。

島内宏明は2年連続打撃タイトルで「つなぎの4番」確立

 昨季の最多打点に続き、今季は最多安打のタイトルを獲得した島内宏明選手。打率はリーグ3位の.298で、安打数は自己最多の「161」。「つなぎの4番」と呼ぶにふさわしい成績で、通算1000安打達成、自身初のベストナインも受賞した。本塁打こそ昨季を下回る14本に終わったが、岩手県営球場ラストゲームでのサヨナラ弾などインパクトを残し、通算100本塁打まであと「3」に迫っている。4年契約の3年目、10年前の歓喜をもう一度東北の地に呼び起こしたい。

2年ぶりのベストナイン獲得。浅村栄斗、チームの顔へ

 移籍4年目を迎えた浅村栄斗選手。自身7年連続となる全試合出場を達成し、2年ぶりとなるベストナインを達成した。4月は月間打率.333とチームの好調を支えたが、夏場以降のチームが苦しい時期を打破するほどのインパクトは残せなかった。一方で、それは浅村選手がチームをけん引すべき存在という証でもある。「もう一度、イーグルスに来た時の初心にかえる」と気持ちを引き締め、新たに4年契約を結んだ浅村選手。チームの顔として日本一奪取を誓う。

打率リーグワーストで「守備の人」と呼ばれた昨季から飛躍

 昨季は自身初の規定打席に到達した辰己涼介選手だったが、到達選手の中でワーストの打率.225を記録するという苦杯もなめた。「守備の人」脱却を誓った今季は、2年連続の2桁本塁打に加え、安打数もキャリアハイをマークするなど、打撃でもセンスを光らせた。もちろん球界トップクラスの守備力は健在。ゴールデングラブ賞を2年連続で受賞した。自身が目指す「味方には安心感、相手には絶望感を与えられるような守備」を体現し、さらなる進化が求められる来季となりそうだ。

課題の“盗塁”、元盗塁王加入もありリーグ2位へ躍進

 かつては聖澤諒氏など盗塁王も輩出してきた東北楽天だが、昨季までは4年連続でチーム盗塁数がリーグワーストを記録するなど、近年は機動力に課題を抱えていた。しかし4度の盗塁王経験がある西川遥輝選手の加入により、この点に関しては大きな躍進を遂げる。小深田大翔選手がチーム最多(リーグ3位タイ)の「21」盗塁を記録。西川選手自身も19盗塁をマークするなど、チーム盗塁数はリーグ2位の「97」を数えた。

ケガ、不調......苦しんだ助っ人新戦力

 チームは今季からマルモレホス選手とギッテンス選手を助っ人として獲得したが、主軸は浅村選手と島内選手が担うことが多く、期待された結果を残すことができなかった(マルモレホス選手は今季をもって退団)。ギッテンス選手は21試合の出場で、一軍では不発。ケガに苦しんだシーズンとなった。来季はMLB130発のフランコ選手も加入するが、打線に威圧感を加えていきたい。

内野の競争激化が予想、キーマンは?

 今オフには涌井秀章投手との電撃トレードで、中日から阿部寿樹選手(内野手)が加入。新外国人のフランコ選手も内野手で、ポジション争いの激化が予想される。実績十分の浅村選手、鈴木大地選手らがレギュラーを張るなか、小深田選手、山崎剛選手、渡邊佳明選手ら若手の台頭もチームにとっては必要だろう。茂木栄五郎選手や銀次選手など犬鷲一筋の実力派も名を連ね、石井一久監督の手腕も試されるか。

 今秋のドラフト会議では、投手を中心に獲得を進め、野手陣は若手の育成に力が注がれるだろう。2年目の安田悠馬選手をはじめ、武藤敦貴選手ら光るものを見せた若手のホープにも期待したい。

文・小野寺穂高

東北楽天2022シーズンレビュー:投手編
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