今季は怪我に泣かされ調子が戻らず「自分の技術不足」
北海道日本ハムの鍵谷陽平投手が3日、札幌の球団事務所で契約更改交渉に臨み、700万ダウンの4300万円でサインした(金額は推定)。
抑え候補として迎えた今季は3月中旬に右尺側手根屈筋の筋挫傷で戦線離脱。5月27日に1軍昇格したものの、調子が上がらず、28試合(先発0)0勝0敗2ホールド、防御率4.28の成績に終わった。
春先の故障が響いた。「思ったよりも肉離れした箇所が良くなくて、自分の肘の感覚を取り戻すのにすごく時間がかかってしまいました」。チーム最多の60試合に登板して防御率2.53とキャリアハイをマークした昨季から一転、悔しさを味わうシーズンになった。
「思い通りの球を1球も投げられない感覚」とシーズン中は苦悩した。「本当に自分は野球が下手だなと痛感した1年でもありました」と自嘲気味に笑う。「パフォーマンスを戻せなかったという意味で、自分の技術不足。頭の硬さをもっと柔軟にしていかないといけないなと思います」と続けた。
思うようなボールを投げられない中でも抑えた試合があったことは収穫だった。「粘って、何とか最少失点で抑える時がありました。変化球を含めた投球で何とかなったので、その力の加減はものにしていきたいです」と、今後不調時の引き出しの1つにする。
怪我防止のために初動負荷トレーニングを導入
もちろん、力のあるボールを取り戻すことが大前提だ。「元々の良さである力強い真っ直ぐをストライクゾーンにしっかり投げるということをもう一度しっかりやらなければ。高いパフォーマンスを取り戻せば、今まで以上の成績を残せるのではないかと思います」と、来季は剛柔交えた投球で勝負する。
故障を経験したことでトレーニング方法も見直した。これまでウエートと走り込みに特化していたが、シーズン終了と同時に初動負荷トレーニングを始めた。「怪我の防止にもつながると思いますし、柔軟性も良くなり、体のポジションも良くなって、いい方向に行くと思います」と期待している。
来季の目標は、昨季を上回る成績を残すこと。「今年迷惑をかけた分、来年はキャリアハイの数字を残したいと思いますし、60試合を超える登板数を投げたいと思います」。すでに10月のフェニックス・リーグではボールの強さと指の感覚を取り戻し、今後は故障によって崩れたフォームを修正して、2月にキャンプに臨む。
その先に思い描くのは、2023年春に開業予定の新球場での登板だ。
「あの球場は一野球人として夢の球場。あそこでしっかりしたプレーができるように、1年1年が勝負だと思うので、しっかりやっていきたいと思います」と力を込めた。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)
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