ニューヨーク・ヤンキースからFAとなり、東北楽天ゴールデンイーグルスへの入団が明らかになった田中将大投手が、1月30日都内で行われた入団会見に出席。三木谷浩史オーナー、立花陽三代表取締役社長、石井一久GM兼監督も同席するという、球団を挙げての歓迎の姿勢がうかがえた。
開口一番は同席の三木谷オーナー、立花球団社長、石井GM兼監督に対する感謝の言葉だった。三木谷オーナーへは「7年前メジャーに挑戦する時に快く送り出してくれて、また楽天イーグルスに迎え入れてくれたことに感謝しかない」と述べると、続く立花球団社長には「毎年オフに仙台の施設とか好きに使ってくれと言っていただき温かいサポートをしてくれた」。石井GM兼監督に対しては、「僕の気持ちに寄り添ってくれて『田中選手の力が必要』と言っていただいた。選手としてありがたい評価をしていただいたと思う」と思いを口にした。
日米で離れていた7年間。絶えず球団側が田中投手とコミュニケーションを取り、サポートしていたことで結実した今回の入団だが、田中投手も「必ず戻ってきて、楽天イーグルスで早いうちにまた日本でバリバリと投げたいという気持ちは(MLB行きが決まった)初めからあった」「毎回(メジャーの)登板前に自分の集中力を上げるために見るビデオがあって、日本一の場面を入れていて見ていた」と話すように、球団からのラブコールにほだされてというだけでは済まされない、相思相愛ぶりがうかがえた。
一方で、石井GM兼監督は「特別な選手ですが、特別扱いはしない」と明言。終盤には「まだ僕の方が通算勝利数勝っているので。もうちょっと勝つまでは『マサヒロ』と呼んで、超えたら『ねぇねぇ、田中くん』にしようかな」とニヤリ。田中投手も「日米どちらも経験され、同じポジション。調整の中でうまくいかないことがあると思うのでいろいろとアドバイスをいただきたい」と二人三脚で日本一へのロードを歩むことを決意した。
欲しいタイトルは兎にも角にも「日本一」。「ヤンキースでワールドシリーズに出てチャンピオンリングを手にできなかったことは、ずっと目標にしてきただけに心残りだった」と正直に気持ちを吐露したが、「今はもう楽天イーグルスの日本一に貢献することしか考えていない」と眼光鋭く前を向く。まだ32歳。チームにも球界にも与える影響はあまりにも大きい。
文・海老原 悠
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