楽天・松井裕樹、抑え復帰で成功の鍵は「入れ込み過ぎない」新スタイルの構築

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楽天・松井裕樹※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
楽天・松井裕樹※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

プロ2年目19歳から抑え務め勤続疲労も

 楽天の松井裕樹投手は、27日の契約更改交渉で現状維持の年俸2億5000万円(金額は推定)でサイン。オンライン会見では、石井一久GM兼監督と話し合った結果、来季から抑えに復帰することを明かした。昨年最多セーブのタイトルを獲得した25歳の左腕は、今季自身の希望で先発に転向したが、1シーズンで元の役割に戻ることに。その成功の鍵とは──。

 1年前の契約更改。4年契約を結んだ松井は先発転向を明言し、「体への負担など先を考えた時、今のスタイルで何十年と投げ続けることは想像できなかった」と述懐していた。

 確かに、プロ2年目に19歳で本格的に抑えを務めるようになった松井は、3年連続30セーブ以上をマーク。不調に陥った2018年に暫定的に2試合先発したことはあったが、翌19年にはまた38セーブを挙げ、初めてタイトルも獲得した。思い切り腕を振り、150キロ超の速球、一級品のスライダー、フォークを投げ込むスタイルは魅力いっぱいだったが、勤続疲労は相当なものだっただろう。

 しかし、先発転向は思うに任せなかった。今季開幕から2試合連続で責任投球回数の5回を全うできず、6月29日に出場選手登録抹消。ファームでの調整は1か月以上に及んだ。8月6日の昇格後は、先発で3勝3敗。10月以降はチーム事情で救援に回った。トータルで25試合登板、4勝5敗8ホールド2セーブ、防御率3.18。先発した10試合の防御率は3.66、救援での15試合は1.65だった。

クローザーの役割を「抑えにしかできない。あの瞬間が好きです」

「自分がどこで投げればチームのためになるかを考えた。今季は先発でイニングを投げられなかった。僕が先発するとリリーフの負担が大きくなる」と振り返り、石井監督からの抑え復帰の打診には、「僕もそのつもりだった。任されるうれしさがあった」と二つ返事で応じたという。

「今季は先発もやりましたし、イニング途中からの登板、セットアップ、クローズと一通り経験できたのはよかった」と前向きにとらえている。

 今季初セーブを挙げたのは、10月30日の千葉ロッテ戦で、8回4安打1失点の快投を演じた岸の後を受け、2-1の最少得点差の9回に登板し、見事2奪三振を含めて3人で片づけた。松井はこの試合を例に挙げ、「ウイニングボールを先発投手に渡す役割は、抑えにしかできない。あの瞬間が好きです」とクローザーのやりがいを語る。

 残る課題は、1年前に懸念した体への負担を軽減するスタイルの構築だろう。先発の経験から「力を抜くこと、配球、球種など、学んだことはたくさんある」と言う。リリーフ復帰後は「いい意味で入れ込み過ぎず、以前のようにガチガチに力を入れることがなくなった分、体のキレがよかった」と手応えも感じた。球界屈指のクローザーとして“太く長く”活躍するため、試行錯誤は続きそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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