埼玉西武4年目愛斗、目の前の結果より描いた未来像 「貫いた甲斐があった」

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2019.5.1(水) 07:10

埼玉西武・愛斗※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
埼玉西武・愛斗※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

25日の千葉ロッテ戦でプロ初安打を放った4年目の愛斗

 埼玉西武・愛斗外野手はプロ4年目で待望の初ヒットを記録した。25日の千葉ロッテ戦(ZOZOマリン)で8回に代走で出場すると、そのまま指名打者として試合に。そして同点で迎えた10回2死一塁でレフト線へ勝ち越しタイムリーを放ち、この一打で試合を決めた。

“まだ”、いや、“もう”プロ4年目だ。初めて1軍に昇格したのはプロ2年目の2017年だった。7月にはスタメンも経験したがほどなくして2軍に降格。その後も1軍に呼ばれては、安打を放つことができないまま年月が過ぎた。度重なるケガにも悩まされ足踏みを繰り返す間に、同年代の選手がみな「初安打」「初本塁打」「初打点」を記録していった。

「その時は悔しかったし、目の前の結果しか見ていなかった。でも、“自分はこれでいいんだ。未来はこうなるから、今はやるべきことをやろう”という考え方に変わった。結果が出ていなかったけれど、貫いた甲斐があった」

 苦しい経験を無駄にしない。花咲徳栄高校では2年の春から4番に座ったが、「1試合でヒットを2本以上打ったことはないかも」と公式戦では本来の実力を発揮できないことが多かったという。

「大会では本当に打てなかった。自分の中では、本番に強いタイプだと思っていたのに」

「覚悟を持ってスイングしろ」岩井監督の言葉で自信を取り戻し打撃は復調

 3年夏の県大会の直前にはバッティング練習でバットにボールが当たらなくなるほど大不振に陥った。「ああ、俺の最後の夏も、こんな感じで終わっていくのか。最悪だ」。誰よりも練習をしてきたという自負があったからこそ、ふがいなかった。そんな愛斗の姿を見て、岩井隆監督が声をかけた。

「何を迷っているんだ? 誰よりも練習をしてきたじゃないか。してきた練習は無駄にはならない。覚悟を持ってスイングしろ」

 自室に戻り、岩井監督の言葉を反芻した。見てくれている人は、必ずいる。指揮官の言葉をきっかけに、再び自信を取り戻した。翌日のバッティング練習では柵越えを連発。そうして迎えた夏の県大会では打率.455と大暴れで甲子園出場に貢献すると、甲子園の大舞台ではランニングホームランを放つなど強烈なインパクトを残した。その年にドラフト4位で埼玉西武から指名を受け、憧れのプロの世界に飛び込んだ。

「(初安打は)1回しかない。でもそこは通過点。そこを打つことが目標じゃない」

 目指すものは1本のヒットではない。まずはレギュラー奪取、そして球界を代表する打者になることが目標だ。「獲れるタイトルは全部ほしい」と大きな野望を口にすることも恐れない。未来の自分を作ることができるのは今の自分だけだと分かっているからこそ、悔しかった経験も財産に変えることができる。愛斗のプロ野球人生は、まだ始まったばかりだ。

(安藤かなみ / Kanami Ando)

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