27日に行われた埼玉西武戦で対外試合デビューを果たした甲斐野
27日、宮崎・アイビースタジアムで行われた「球春みやざきベースボールゲームズ」。2年連続日本一となった福岡ソフトバンクと、10年ぶりにパ・リーグを制した埼玉西武という、昨季のクライマックスシリーズ・ファイナルステージと同じ顔合わせとなった一戦で、キラリと輝きを放った1人が、福岡ソフトバンクのドラフト1位ルーキー甲斐野央投手であった。
9回に福岡ソフトバンクの7番手としてマウンドに上がったルーキー右腕の投球は、まさに圧巻の一言だった。先頭の山田に対しての初球に151キロ、2球目には153キロを記録。2球で追い込むと、3球目のフォークでいとも簡単に3球三振に斬った。続く中田はどん詰まりの三ゴロ。最後はこの日4安打を放っていた木村のバットを粉砕した。初球でこの日最速の155キロを計測し、4球目でバットをへし折って三ゴロに仕留めた。
「すごく緊張していて、ブルペンでもそんなに調子が良いということはなかったんですが、マウンドに上がってからはやってやるぞという気持ちで投げました。球速は調子のバロメーターではありますけど、球速だけじゃなく、質をもっと磨いていきたい」。試合後に、こう語った甲斐野。まだまだ満足する様子はなく「もっとレベルアップしたい」とも話していた。
衝撃の最速155キロに、工藤公康監督や倉野信次1軍投手コーチからも絶賛の声が上がっていた甲斐野。大学時代には最速159キロをマークしているが、そんな剛腕には、衝撃的な秘話がある。150キロを超えるボールを投げるのにも関わらず、なんと「腕立て伏せができない」のだ。
「本当に腕立て伏せ、できないんです、1回も。ベンチプレスとかも無理です」という甲斐野。身長187センチ、86キロの体格を誇るが、確かに近くで見ると、逞しい下半身とは対照的に腕などは他の選手に比べて細い印象を受ける。
中学校時代くらいまでは「普通に10回くらいはできていました」というが、身長が伸びて体が大きくなり、体重が増えるにつれて腕立て伏せができなくなったという。自分の体重を持ち上げることができなくなったのだ。
最速159キロを誇るものの、“剛腕”ではなかった甲斐野。とはいえ、腕立て伏せが出来ずとも、150キロ超のボールが投げられるということは、今後の将来性や伸びしろには大きな期待が持てるとも言える。プロ入り後はウエートトレーニングも行っているだけに、今後の成長にも期待したい選手だ。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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