ヒーローインタビューで語った福岡ソフトバンク・今宮選手の力強いコメントが全てだった。「これがホークスの力だと思います」。5点差を追い付き、延長戦で試合を決める。首位・福岡ソフトバンクが、好調の2位・千葉ロッテを終盤の猛攻で下した。
デスパイネ選手、ナバーロ選手の3本塁打で6得点。開いた点差は5点。誰もが千葉ロッテの勝利を信じて疑わなかっただろう。「ファンの皆さんも負けたかと思ったかもしれませんけど」とは今宮選手。しかし、試合の流れが大きく福岡ソフトバンクに傾いたのは8回だった。1死1,2塁、柳田選手、内川選手、長谷川選手、松田選手と4者連続タイムリー。福岡ソフトバンクの誇る強打者カルテットが目を覚まし、土壇場で同点に追い付いた。
9回1死満塁というチャンスは無得点に終わったが、球場のお祭りムードが消えることはなかった。延長10回2死1塁、今宮選手が左中間を割るサヨナラのタイムリー。「メチャうれしかったです」。柳田選手でも内川選手でもなく、この日の主役はこの男だった。
福岡ソフトバンクが誇る正遊撃手。広い守備範囲と強肩で、相手のチャンスを何度もつぶす。打率が上がらなくても、福岡ソフトバンクには欠かせないピースとして貢献してきた。だが、ここにきてその打率もグングンと上昇。5月下旬まで2割に満たなかった数字が、5月25日から20試合連続安打を記録するなど、1カ月間で打率.273まで来た。この日も4安打1四球。「少し打撃のスタイルを変えて打率が上がっているし、自分を信じて打席に立てている。今、ウチで一番いい選手かなと思う」と、工藤監督は絶賛した。
「鷹の祭典」として開催された27日の千葉ロッテ戦で敗戦。今宮選手は「1位と2位の試合。連敗はできないと思っていた」と強い決意でこの試合に臨んだ。相手の助っ人たちのアーチは迫力十分だったが、一発ではなく、つなぎのスタイルでそれをひっくり返す。「ホークスは負けるまで諦めない。何があるか分からないのがホークス」。選手全員の気持ちを代表し、ヒーローはお立ち台で言った。
試合後、工藤監督は「すごい試合でしたね」と笑顔を爆発させながら、驚異の逆転劇に「何も言うことはないです」と打線に感謝した。これで再びゲーム差が7,5。土俵際まで追い込まれたところから見せた、首位の底力。今後へ向け、さらに勢いが付きそうな、劇的勝利だった。
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