開幕から勝ちパターンの一翼を担い、安定した投球を披露

2018年のドラフト2位で福岡ソフトバンクホークスに入団した杉山一樹投手。本格的にリリーフへと転向した昨季は、チームトップタイの50試合に登板。7年目の今季も開幕から勝ちパターンの一翼を担い、6月以降はクローザーとして試合を締める場面が増えるなど、ブルペン陣をけん引する働きを見せている。ここまで防御率1点台をキープするなど優秀な成績を収めているが、奪三振率は昨季をさらに上回る12.95をマーク。今季の杉山投手はいかにして奪三振を増やしているのか。今回はその要因にデータで迫っていきたい。
対右打者の奪三振割合がアップ

昨季の時点で十分に高かった奪三振率がさらに向上した要因として、今季は右打者から多くの三振を奪っていることが挙げられる。右打者に対する奪三振割合は、昨季の24.2%から大幅アップの36.0%をマーク。昨季の割合もリーグ平均以上の数字だが、今季は左右ともに30%以上を記録と文句のつけようがない成績を残している。では、右打者に対してどのように奪三振を増やしているのだろうか。
右打者に対して、2ストライクに追い込む打席が増加

右打者への奪三振割合が増加したのは、2ストライクに追い込む打席が増えたことが理由の1つとして挙げられる。対右打者の2ストライク打席の割合を見ると、昨季の47.4%から今季は59.6%とその数字を大きく上げている。追い込む打席が増えれば、必然的に三振を奪うことができる機会も増加し、それが奪三振割合の上昇につながるというわけだ。続いては、どのように右打者を追い込んでいるのか見ていきたい。
追い込む前から武器・フォークを多投

今季は全体的にフォークの投球割合が増えているが、右打者に対しては特に0・1ストライクで昨季から約12ポイントの増加が見られた。つまり、持ち球の中で最も奪空振り率が高く、ストライク率の高いフォークを早いカウントから投じており、それが2ストライク打席の増加につながっているといえる。また、杉山投手のフォークは今季の被打率が.172とヒットを打たれにくい球種であり、そういった面でもカウントを問わず積極的に投じていると考えられる。
フォークの奪空振り率はリーグ2位の成績

今季割合を増やしたフォークの奪空振り率は、昨季の25.1%を上回る28.4%を記録。これはパ・リーグの救援投手の中で第2位の数字だ。150キロ台後半にまで達するストレートと、落差の大きいフォークのコンビネーションは、打者にとって非常に厄介なものとなっているだろう。
自慢のフォークを武器に、ここまでクローザー起用に応える活躍を見せている杉山投手。シーズンも終盤に差し掛かり、パ・リーグの首位争いはますます激化していくことが予想される。鷹の新守護神は、藤井皓哉投手、松本裕樹投手ら強力リリーフ陣とともに、今後も痺れる場面でチームのリードを守り抜く。
※文章、表中の数字はすべて2025年8月14日終了時点
文・データスタジアム
